3級|シナリオ作成の基礎と判断力の鍛え方


🎯 この級で得られること

「どこで入って、どこで出るのか」
「もしこうなったらどうするのか」
これを事前に考えられるのが、シナリオ作成です。

チャートの形、相場の状況、ニュース──
すべての情報を組み合わせて、“もしも”の道筋を描いておく力を身につけます。


🧭 この級の流れ

  • 第1章:なぜシナリオが必要なのか
  • 第2章:シナリオの基本構造
  • 第3章:シナリオ例と考え方
  • 第4章:判断力を鍛える練習法

第1章|なぜシナリオが必要なのか

💡 想定外であわてないための「行動の地図」

あなたは、トレード中にこんな経験をしたことはありませんか?

  • 「上がると思って買ったのに、下がってしまって混乱した」
  • 「予想は当たったけど、途中で怖くなってすぐ利確してしまった」
  • 「損切りできずに、気づけば大きな含み損を抱えていた」

これらはすべて、事前に「どうなったら、どうするか」を考えていなかったことが原因です。
つまり、「シナリオ」がなかったのです。


🗺 シナリオとは「行動の事前設計図」

シナリオ作成とは、トレードを始める前に、あらかじめ

  • 「こうなったら買う(売る)」
  • 「こうなったらやめる」
  • 「もし思惑が外れたら、ここで損切る」

といった行動のルールを決めておくことです。

これは未来を完全に予測するためではありません。
むしろ、「予測が外れることを前提に、準備しておくため」のものです。


📉 初心者がシナリオなしで陥る3つの失敗

状況シナリオがないと…
エントリー後に急落「どうしよう、切るべき? でも戻るかも…」と迷って損が拡大
利益が出てきたとき「今のうちに利確しよう」と利益を伸ばせない
想定が外れたとき損切りの判断ができず、塩漬けトレード

こうした失敗は、トレードの技術以前に、準備不足から生まれるものです。
どんなにチャートの見方が上達しても、その場その場の判断に頼っていては安定して勝つことはできません


🧭 シナリオを持つと何が変わるのか?

  • 感情に左右されず、「事前に決めた通りに動ける」
  • たとえ失敗しても「なぜ失敗したか」が見える
  • 失敗の理由がわかるから、次に生かせる
  • 連敗しても「自分のやり方がブレていないか」を確認できる

つまり、トレードを「再現可能な技術」に変えていくための第一歩が、シナリオ作成なのです。


第2章|シナリオの基本構造

🧱 シナリオは「入る・伸ばす・逃げる」の3点セット

シナリオを組み立てるとき、考えるべきポイントはたった3つです。

  1. エントリーポイント:「どこで入るか」
  2. ターゲット(利確):「どこまで利益を伸ばすか」
  3. 損切りポイント:「どこでやめるか」

この3つがそろってはじめて、トレードに一貫性が生まれます。


① エントリーポイント|入る場所と理由を明確に

「なんとなく上がりそうだから」では、再現性のあるトレードにはなりません。

自分がどんな根拠でエントリーするのか、あらかじめ決めておくことで、曖昧な判断を防げます。

✅ 例(押し目買い)

  • 上昇トレンド中であることを確認
  • 一度下げて、移動平均線やサポートラインに近づいた
  • ローソク足が反発の兆しを見せたら、エントリーを検討

ポイントは、「場所」だけでなく「どういう形になったら入るか」も合わせて考えておくことです。


② ターゲット(利確)|欲張りすぎない目安を設定

利確の目安がないと、「まだ伸びるかも」と期待しているうちに、
せっかくの含み益がなくなることもあります。

✅ 例(押し目買いの続き)

  • 直近高値の少し手前を利確目標に
  • フィボナッチや前回高値との重なりを見る
  • レンジの上限や、心理的節目(例:38,000円など)も意識

完全な天井を当てる必要はありません。
「このあたりまでは伸びるだろう」という妥当な場所を設定することが大切です。


③ 損切りポイント|想定が外れたときの“逃げ道”

トレードでは、想定が外れることは当たり前です。
問題は「どこまでなら許容できるのか」「どこで諦めるか」を事前に決めておけるかどうかです。

✅ 例

  • サポートラインを明確に割ったら損切り
  • エントリーポイントから●円逆行したら撤退
  • ローソク足のパターンで失敗を確認したら撤退

損切りが早すぎると、ノイズで切られてしまいます。
逆に、遅すぎると傷が大きくなります。
だからこそ、「ここまで逆行したら想定が崩れたとみなす」という基準を持つことが重要です。


🧠 3つをセットで考えることの意味

  • 利益の見込みと損失のリスクを天秤にかけられる
  • 勝っても負けても反省と改善がしやすくなる
  • トレード前に「本当に今入るべきか?」を冷静に検討できる

このように、“入る前に考える”ことが、結果を大きく変えてくれます。


第3章|シナリオ例と考え方

📝 シナリオは「状況別の作戦メモ」

シナリオ作成とは、未来の動き方を予想するだけではなく、
「どう動くか」をあらかじめ決めておく作業です。

ここでは、代表的な2つの場面でのシナリオ例を見ながら、
考えるべき視点や注意点を具体的に学んでいきましょう。


例①:上昇トレンドでの押し目買い

上昇相場では、一時的な下げ(押し目)を狙うのが基本です。
ただし、どこでも買えばよいわけではありません。
「押し目の条件が揃ったときだけエントリー」というルールが必要です。

📊 相場状況

  • 価格は移動平均線の上で推移し、全体的に上昇基調
  • 一時的に下げて、サポートラインや移動平均線に近づいている

🧠 シナリオ例

  • エントリー:移動平均線またはサポートライン付近での反発を確認して買い
  • 利確:直近高値の手前(例:5~10円下)
  • 損切り:サポートラインを明確に下抜けたら撤退

💡 考えるべきこと

  • どこまで下がったら押し目と見なすか?
  • 移動平均線との距離感、サポートラインの有効性を確認
  • 反発の根拠は何か?
  • 陽線の出現や、ローソク足の反転パターンなど
  • 損切りは機械的に執行する準備があるか?

例②:ブレイクアウト狙い

長く続いたレンジ相場を抜ける瞬間には、一気に大きく動くチャンスがあります。
ただし、だましのブレイクも多いため、見極めが重要です。

📊 相場状況

  • 高値と安値が一定範囲で推移(レンジ状態)
  • 出来高が増え、節目を上抜けそうな兆候がある

🧠 シナリオ例

  • エントリー:節目を明確に上抜け、その後の押し目(戻し)で買い
  • 利確:次の高値ゾーンまたは心理的節目(例:38,500円など)
  • 損切り:再び節目の内側に戻ってきたら撤退

💡 考えるべきこと

  • なぜ「押し目を待つ」のか?
  • 初動の勢いに飛び乗るよりも、確認を取ってからの方が失敗が少ない
  • ブレイクが失敗したときの逃げ方は?
  • 節目を下回る動きに対しては、即時撤退をルール化

✅ シナリオ作成の共通ポイント

項目内容
エントリー「価格」だけでなく「形・条件」をセットで考える
利確欲張りすぎず、現実的な到達点を見積もる
損切り想定外の動きを明確に定義し、即座に逃げる準備をする

🎯 実際のトレードでは…

  • シナリオを持たずに入る=無計画な旅です。
  • 「上がるかもしれない」「たぶんいける」ではなく、
    「この条件が揃ったら行動する」と明言できる根拠を持ちましょう。

第4章|判断力を鍛える練習法

🏋️ シナリオは「立てた後」が本番

トレードで勝つためには、ただシナリオを立てるだけでは不十分です。
実際の相場で、それを守り抜く力が必要です。

  • エントリーした後に、急に不安になる
  • 損切りラインが近づいてくると、ついラインを広げてしまう
  • 利確の目標を越えても、「まだ伸びるかも」と欲張ってしまう

これらはすべて、「判断のブレ」から生じます。
そしてそのブレは、意外にも自分では気づきにくいのです。


📓 記録をつければ判断が変わる

判断力を鍛える一番の方法は、自分の行動を振り返ることです。
そのために有効なのが「記録」です。

✍ トレード記録の例

  • どんなシナリオを立てたか
  • どこでエントリーしたか、その理由
  • 利確・損切りの場所と、実際の行動
  • 想定とズレた点(どこでブレたか、何が感情を揺らしたか)

📌 記録の効果

  • 自分の「クセ」が見えてくる
     (例:含み益が出るとすぐ利確してしまう)
  • 繰り返し出てくる失敗パターンに気づける
  • 判断の傾向が数値化・言語化される

🧠 判断力を鍛えるステップ

  1. 仮説を立てる(シナリオ)
    └ 「こうなったら、こうする」と事前に考える
  2. その通りに実行する
    └ 感情に左右されず、ルールに従って動く
  3. 終わったら必ず記録・振り返りをする
    └ 「想定と違った点は?」「本来の行動とズレたか?」
  4. 改善点を次に活かす
    └ シナリオや損切り幅の見直しなどを検討

このサイクルを回すことで、判断力が徐々に強く、柔軟になっていきます。


⚠ よくある落とし穴

シチュエーション判断力がブレる原因
相場が急変した想定外の動きに感情が反応してしまう
連敗している冷静さを失い、「取り返そう」と無理なエントリーをする
連勝している自信過剰になり、ルールを破ってしまう

これらを防ぐためにも、記録と振り返りを習慣にすることが非常に大切です。


✅ トレードは「行動の精度」がすべて

いくらチャート分析が上手でも、
実際の判断がブレていれば、結果は安定しません。

判断力は、生まれつきの能力ではなく、
訓練によって磨ける「技術」です。

次章では、こうして作ったシナリオや判断を支える「資金管理」について学びます。


✅ まとめと次のステップ

🎯 この級で学んだこと

  • トレードのシナリオとは、「どこで入って、どこで出るか」「もしもの場合どう動くか」を事前に決めること
  • シナリオは、以下の3つの要素をセットで考える
  • エントリーポイント
  • ターゲット(利確)
  • 損切りライン(撤退条件)
  • 実際のトレードでは、感情に左右されずに、シナリオ通りに行動することが重要
  • シナリオ通りにいかなかった場合も、記録・振り返り・改善を繰り返すことで、判断力が鍛えられる

📌 今後につながる力とは?

この級で学んだシナリオ作成は、
単なる“プラン作り”ではなく、あなたの判断を安定させ、トレードを再現性のある技術に変えるための基盤です。

迷いながら手探りで行うトレードと比べて、
「決めてから動く」あなたのトレードは、ひとつ上のステージに入っています。


🔜 次の級(2級)では…

ここから先は、さらに重要なテーマ――
「資金管理とリスクコントロール」へ進みます。

  • 勝ち方よりも、負け方が大事になる世界
  • たとえ連敗しても、致命傷を負わないための守り方
  • 一発退場を防ぐ「損失コントロール」の知恵

これらを学ぶことで、あなたのトレードは「破綻の不安」から解き放たれ、
安定した継続の軌道に乗るはずです。


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